新日本国憲法  完全庶民寄り改正草案 ( 追加・修正条項方式 )
[ 2017年01月06日 最終更新 ]


今後の改善余地、課題

・ 近代的立憲主義に基き、「納税の義務」、「勤労の義務」、「教育を受けさせる義務」は国民の義務では無いことを明記する。
・ 二重課税を一切、禁止する。
・ 源泉徴収を一切、禁止する。
・ 生態系を保守するため、外来生物の持ち込みを禁止する。
・ 生物を大事にすること。( 現状、多数の生物が保健所に殺処分されている。 )
・ 大企業、大業界団体、資産家を過度に優遇し、中小零細企業、労働者を苦しめる政策を行ってはならない。
・ 中間搾取を極小化し、かつ、経済成長に頼らない、持続可能な経済システムを作る義務。
・ 社会保障は可能な限り手厚くするべきだが、社会保障によって経済、財政が破綻するような状態を作ってはならない。
・ 外国に借金してはならない。
・ 特別会計予算は、一般会計予算と同様に、国会の承認を必要とする。
・ 特別会計決算、国政府の特殊法人およびその子会社、孫会社等の系列会社の会計は、国会および会計検査院が監視しなければならない。
・ 今後、国政府の特殊法人設立を禁止する。
・ 国連憲章の敵国条項を撤廃させるための努力義務。
・ 宗教法人による政治献金、公職選挙への関与を禁止する。違反した宗教法人は解体する。
・ 宗教法人は、貧困者に対し、見返りを求めず、無償で、食事と宿を提供する義務を負う。
・ 宗教法人は、信者でない一般の国民に対し、見返りを求めず、無償で、施設を貸し出す義務を負う。
・ 個人間、集団間、国家間を問わず、ほぼ全ての争い事の根本には、貧困、搾取、略奪、蹂躙、抑圧があることを肝に銘じる。
・ 著作権を保有する者の過剰な主張により、文化が衰退することを防ぐ。
・ 水源地、農地を外国人、企業に売ることを禁止する。

・ 明治維新から大東亜戦争敗戦までの歴史を検証し、総括する必要がある。
  ( 明治政府と英国、米国、国際銀行家、武器商人との関係、天皇、国家神道、日本銀行、財閥、人身売買、搾取、近代合理主義、戦争責任。 )
・ 大東亜戦争敗戦以降から現在までの歴史を検証し、総括する必要がある。
  ( 日本銀行の株主、官僚組織、日米の密約、米国による介入、米国の対日工作員、ソ連による介入、ソ連の対日工作員、その他外国による介入、対日工作員。 )
・ 天皇および皇族の地位、国籍、戸籍、財産、基本的人権、労働条件 ( 休日日数、勤務時間、給与 ) をどうするか?
・ 皇位継承資格者の定義をどうするか? ( 男系女性天皇、旧宮家の皇族復帰、女系男性天皇、女系女性天皇を認めるか。 )
・ 皇位継承資格者の即位拒否の権利、天皇、皇后の退位の権利をどうするか?退位した後の地位はどうするか?
・ 皇族に側室制度を導入するか?
・ 皇族を辞める権利をどうするか?

・ 自衛戦争における、宣戦布告と講和の権限を誰に持たせるのか? ( おそらく、内閣総理大臣だが、内閣総理大臣が不在の際はどうするのか。 )
・ 自衛隊の統帥権を誰に持たせるのか? ( おそらく、内閣総理大臣だが、内閣総理大臣が不在の際はどうするのか。 )
・ 国章、国旗、首都を明記するかどうか。
・ 衆議院議員総選挙の一票の格差問題。
・ 参議院議員通常選挙の一票の格差問題。
・ 衆議院議員総選挙の選出方法。小選挙区か、中選挙区か、比例代表制選挙区か、非拘束名簿式全国比例代表か、裁判員制度のようにランダム抽出か。
・ 参議院議員通常選挙の選出方法。 ( 衆議院との差別化。 ) 都道府県代表か、非拘束名簿式全国比例代表か、職能代表か。


修正前文
 我々日本国民の先祖は代々、自然を畏れ、自然と調和し、自然から恵みを頂いて生きてきた。しかし、明治維新以降、我が国は、我々日本国民の源泉である自然や命の尊さをなおざりにし、近代合理主義に基づき、自らの理性を疑うことなく突き進み、経済発展を遂げてきた。その結果、世界有数の経済大国となったが、その実態は、食料も、エネルギーも、軍事力も自給することができず、外国軍、外国政府、国際組織、国際銀行家、国際投資家、国際企業家に利益誘導し、庶民は幼少の頃から意味の無い受験勉強をやらされ、成人後は低賃金・長時間労働と重税に苦しむ一方で、富める者はさらに富み、多くの日本国民の生命を失い、数々の公害を起こし、福島原子力発電所事故を起こし、未だに事故を収束できていないという状況である。
 我々日本国民は、外国軍、外国政府、国際組織、国際銀行家、国際投資家、国際企業家による搾取と支配から脱却し、自然を畏れ、自然と調和し、自然の恵みを頂きながら持続可能な社会を作り、水・食料・エネルギー・軍事力およびその他のあらゆる物資を自給し、経世済民を常に重んじ、機会の平等を保障し、格差の是正を完遂し、多様性を認め、身体的・精神的な自由を謳歌し、物質的・精神的・文化的・時間的に豊かな人生を歩むための日本国民のための会員制クラブたる日本国政府を運営し、重武装中立の平和国家として歩んでいくことを決意した。
 上記の決意を実現するために、ここに修正条項を定める。

修正第1条 [ 領土 ]
 日本国の領土は下記の通りである。
樺太庁 ( 南樺太 ) 、北海道 ( 阿頼度島、占守島、幌筵島、志林規島、磨勘留島、温禰古丹島、春牟古丹島、越渇磨島、知林古丹島、捨子古丹島、牟知列岩、雷公計島、松輪島、羅処和島、摺手岩、宇志知島、計吐夷島、新知島、武魯頓島、知理保以島、知理保以南島、得撫島、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島を含む ) 、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、埼玉県、東京都 ( 沖ノ鳥島、南鳥島を含む )、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県、静岡県、愛知県、岐阜県、富山県、福井県、滋賀県、三重県、奈良県、和歌山県、京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、岡山県、島根県 ( 竹島を含む )、広島県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 ( 尖閣諸島を含む )

修正第2条 [ 自然環境の保守 ]
 1. 日本国政府は、自然環境を破壊する可能性のある政策を行わない義務を負う。
 2. ただし、国民生活にどうしても必要不可欠な政策の場合は、自然環境への影響評価を慎重に行い、漸進的に少数派の意見を聞き、多数決に頼ることなく、少数派を説得した上で行う。
 3. 日本国政府は、食品の廃棄を減らす義務を負う。
 4. 日本国政府は、工業製品の廃棄を減らす義務を負う。
 5. 日本国政府は、汚染物質の廃棄を減らす義務を負う。
 6. 日本国政府は、持続可能な循環社会を作る義務を負う。

修正第3条 [ 通貨発行権 ]
 1. 日本国政府および地方自治体のみが通貨発行権を持つ。
 2. 日本国政府および地方自治体は、通貨発行を国民の協働と国内の土地、自然、資源を担保に行う。したがって、通貨発行に伴って、負債と利子は発生しない。
 3. 日本国政府および地方自治体は、上位1% の高額所得者のためではなく、国民ひとりひとりの生活を最大限、豊かにするために通貨発行権を行使する義務を負う。
 4. 日本国政府および地方自治体は、通貨発行権を銀行家、資本家、政治家、官僚、金融機関、一部の大企業の利権にさせないため、国民による監視制度を作る義務を負う。
 5. 日本国政府および地方自治体は、金融政策担当者として適切な人物を選出し、金融政策担当に配置するための制度を作る義務を負う。
 6. 日本国政府および地方自治体は、金融政策が適切に行われているかを国民が監視する制度および国民が金融政策担当者を解任できる制度を作る義務を負う。
 7. 日本国政府および地方自治体は、政府の運営にかかる最低限度の費用 ( 人件費 ) は通貨発行で賄い、課税を廃止する義務を負う。ただし、すべての公務員の給与および報酬は、民間の非正規雇用者、中小零細企業の従業員を含めた全国民の平均値に設定する。
 8. 日本国政府および地方自治体は、国内の潜在的な供給量に適合するように通貨発行量を調整し、上位1% の高額所得者のためではなく、国民ひとりひとりの生活を最大限、豊かにするために通貨を分配する義務を負う。
 9. 日本国政府は、BIS規制を撤廃する義務を負う。
 10. 日本国政府は、すべての貸金の利子を禁止し、融資はすべて無担保・無保証人融資とする義務を負う。

修正第4条 [ 自衛権 ( 第9条の修正 ) ]
 1. 日本国政府は、領土、領海、領空、国内情報セキュリティを保持し、奪われた領土、領海、領空、国内情報セキュリティを回復するための戦力を保持し、個別的自衛権を行使するが、外国軍、外国政府、国際組織、銀行家、投資家、企業家、軍産複合体の利権のための戦争には派兵、物資援助、金銭援助を含め一切加担しない義務を負う。
 2. 日本国政府は、領土、領海、領空、国内情報セキュリティを保持し、奪われた領土、領海、領空、国内情報セキュリティを回復するために集団的自衛権を行使できる。
 3. 日本国政府は、自衛隊の海外派兵を一切認めない義務を負う。
 4. 日本国政府は、国内における外国軍の駐留、外国軍の基地を一切認めない義務を負う。
 5. 日本国政府は、現在、国内に存在する外国軍、外国軍の基地を2025年までに完全撤収させる義務を負う。
 6. 日本国政府は、重武装中立の立場をとる義務を負う。
 7. 日本国政府は、自身のサイバー攻撃能力、サイバー防衛能力を世界最高水準まで高める義務を負う。

修正第5条 [ 食料安全保障 ]
 1. 日本国政府は、水と食料の自給率を100%以上に維持する義務を負う。
 2. 日本国政府は、上下水道の民営化を一切禁止する義務を負う。

修正第6条 [ エネルギー安全保障 ]
 1. 日本国政府は、エネルギーの自給率を100%以上に維持する義務を負う。
 2. 日本国政府は、自然環境に配慮しながら、地熱をはじめとする再生可能エネルギーを、必要な分だけ、可能な限り開発する義務を負う。
 3. 日本国政府は、原子力発電所を全廃し、新規建設を禁じる義務を負う。

修正第7条 [ 国内資金の海外流出阻止 ]
 1. 日本国政府は、国内資金が海外の租税回避地等に流出することを阻止する義務を負う。
 2. 日本国政府は、外国軍、外国政府、国際組織、国際銀行家、国際投資家、国際企業家に利益誘導する条約を絶対に締結しない義務を負う。
 3. 日本国政府は、外国軍、外国政府、国際組織、国際銀行家、国際投資家、国際企業家に対し、無償の支払、投資、融資をしない義務を負う。
 4. 日本国政府は、国内の外国人に対し、無償の支払、投資、融資をしない義務を負う。

修正第8条 [ 国民生活 ]
 1. 日本国政府は、社会的共通資本である、水資源、自然、土地、農業、教育、医療、エネルギー、上下水道、通信、交通、金融、司法、文化を市場化しない義務を負う。
 2. 日本国政府は、日本国民の住居、食料、衣料を保障する。
 3. 日本国政府は、最低賃金を最大限に高め、ジニ係数を0.3以下、上位1%の高額所得者による所得占有率を8%以下に保つ義務を負う。
 4. 日本国政府は、日本国民の生活保護の捕捉率を100%にする義務を負う。
 5. 日本国政府は、労働者派遣事業者を全廃する義務を負う。
 6. 日本国政府は、教育費、医療費を無償化する義務を負う。
 7. 日本国政府は、社会保障の世代間格差を完全に是正する義務を負う。
 8. 日本国政府は、公的年金の積立金をすべて国内で運用する義務を負う。
 9. 日本国政府は、国内での遺伝子組み換え農作物の栽培、遺伝子組み換え家畜の飼育を禁じる義務を負う。
 10. 日本国政府は、移民政策を絶対にしてはならない義務を負う。
 11. 日本国政府は、起業の際の登録免許税を撤廃する義務を負う。
 12. 日本国政府は、パチンコを全廃し、カジノを禁止する義務を負う。

修正第9条 [ 表現の自由 ]
 1. 日本国政府は、公務員による情報隠蔽を禁止し、情報を必ず公開する義務を負う。
 2. 日本国政府は、日本国民への盗聴を一切行ってはならない。ただし、捜査担当官の人数の2倍の民間弁護士、民間技術者の立会人を伴う盗聴は、許可されるものとする。また、盗聴の対象者に対し、捜査終了後の1ヶ月後に盗聴を行ったことを郵便にて通知する義務を負う。
 3. 日本国政府は、日本国民の一切の表現の自由を保障する義務を負う。
    一 警察庁、防衛省、法務省、東京地検特捜部、内閣府、国家公安委員会、警視庁、公安警察、公安調査庁、防衛省情報本部、内閣情報調査室等の情報機関は、いかなる異端者、極端な頽廃的な意見を持つ者に対しても、弾圧、逮捕、強制捜査、マークしてはならない。
    二 道路使用許可は日本国民ならば誰でも無審査、無償で下りるようにし、各地方自治体の公有地内の屋外または屋内に日本国民ならば誰でも無審査、無償で利用できる演説用場所および掲示板を設置する義務を負う。
 4. 日本国政府は、日本放送協会の料金徴収をスクランブル化する義務を負う。
 5. 日本国政府は、外国資本0%でない広告代理店、テレビ会社、新聞社、ラジオ会社、出版社、インターネットメディアに対し、営業停止処分を下す義務を負う。
 6. 日本国政府、地方自治体、政党、政治団体、国務大臣、国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員、官公庁、公務員は、記者会見等の情報公開を日本国民全員に対し平等に行う義務を負う。記者クラブによる記者会見の独占、質問時間に記者クラブメディアの記者だけを指名する等、情報公開の不平等はこれを認めない。
 7. 日本国政府、地方自治体、政党、政治団体、国務大臣、国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員、官公庁、公務員は、世論操作を目的として、広告代理店、テレビ会社、新聞社、ラジオ会社、出版社、インターネットメディアに対する接待、恫喝、弾圧など、圧力を加える行為をしてはならない義務を負う。

修正第10条 [ 司法 ]
 1. 日本国の裁判所は、統治行為論による違憲判断回避をしてはならない。
 2. 日本国の裁判所は、外国軍、外国政府、国際組織、国際銀行家、国際投資家、国際企業家に利益誘導をしていた政党、政治団体、国会議員 ( 現職・元職 )、地方自治体首長 ( 現職・元職 )、地方自治体議員 ( 現職・元職 )、公務員 ( 現職・元職 )、公的組織、広告代理店、テレビ会社、新聞社、ラジオ会社、出版社、インターネットメディア、民間企業、民間団体、宗教団体、前述の団体および企業の指導的人物および関係者に対して、外患誘致罪、外患援助罪、外患予備罪、外患陰謀罪で裁く義務を負う。
 3. 日本国は、憲法違反を犯した内閣総理大臣、国務大臣、国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員、公務員を公民権停止、懲戒免職、減給等の厳罰に処す義務を負う。
 4. 日本国は、公職選挙の際に公約として掲げていない政策を推進する政党に所属する国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員を公民権停止、懲戒免職の厳罰に処し、当該政党を解体する義務を負う。

修正第11条 [ 公職選挙、政治資金、議会 ]
 1. 日本国民は、総理大臣、国務大臣、国会議員、事務次官等国家公務員の要職の解職要求権、衆議院の解散要求権を有する。解職・解散要求制度 ( リコール制度 ) は公職選挙法に詳細を定める。
 2. 日本国は、4親等以内に国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員がいる国民に対し、公職選挙に立候補することを禁ずる義務を負う。
 3. 日本国は、帰化人および4親等以内に外国籍の者または帰化人がいる者は、国務大臣、国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員、裁判官、公務員になれないよう定める義務を負う。
 4. 日本国は、国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員の在職期間の上限を通算12年と定める義務を負う。
 5. 日本国は、公職選挙における供託金は全廃する義務を負う。
 6. 日本国は、公職選挙における立候補者の選挙運動の条件を完全に平等化する義務を負う。
 7. 日本国は、政党、政治団体、国会議員、地方自治体首長、地方自治体議員に対する一切の個人献金、企業献金を禁止する義務を負う。
 8. 日本国は、政党助成金を撤廃する義務を負う。
 9. 日本国は、国政、地方自治体を問わず、議会、委員会における党議拘束を禁止する義務を負う。

修正第12条 [ 行政 ]
 1. 日本国の公務員は、私腹を肥やしてはならず、利権のための行政を行ってはならない。
 2. 日本国の公務員は、常に業務を効率化し、費用を最小化し、日本国民へのサービス向上に努めなければならない。

修正第13条 [ 抵抗権 ]
 1. 日本国民は、自然権として抵抗権を有することから、「納税拒否権」を持つ。


以下、現行の日本国憲法と全く同じ

(昭和二十一年十一月三日憲法)


  日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

   第一章 天皇

第一条  天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第二条  皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範 の定めるところにより、これを継承する。

第三条  天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第四条  天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
○2  天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第五条  皇室典範 の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

第六条  天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
○2  天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 国会を召集すること。
 衆議院を解散すること。
 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 栄典を授与すること。
 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
 外国の大使及び公使を接受すること。
 儀式を行ふこと。

第八条  皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

   第二章 戦争の放棄

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

   第三章 国民の権利及び義務

第十条  日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第十一条  国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
○2  華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
○3  栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
○2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
○3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
○4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第十六条  何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

第十七条  何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

第十八条  何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第二十条  信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
○2  何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
○3  国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第二十三条  学問の自由は、これを保障する。

第二十四条  婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
○2  配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第二十五条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
○2  国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第二十六条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
○2  すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

第二十七条  すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
○2  賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
○3  児童は、これを酷使してはならない。

第二十八条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。
○2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

第三十条  国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

第三十一条  何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第三十二条  何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

第三十三条  何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

第三十四条  何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十五条  何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
○2  捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

第三十六条  公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

第三十七条  すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
○2  刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
○3  刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

第三十八条  何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
○2  強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
○3  何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

第三十九条  何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

第四十条  何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

   第四章 国会

第四十一条  国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

第四十二条  国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

第四十三条  両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
○2  両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

第四十四条  両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

第四十五条  衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

第四十六条  参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

第四十七条  選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第四十八条  何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

第四十九条  両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

第五十条  両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

第五十一条  両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

第五十二条  国会の常会は、毎年一回これを召集する。

第五十三条  内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

第五十四条  衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
○2  衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
○3  前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

第五十五条  両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第五十六条  両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
○2  両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第五十七条  両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
○2  両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
○3  出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

第五十八条  両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
○2  両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第五十九条  法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
○2  衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
○3  前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
○4  参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

第六十条  予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
○2  予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第六十一条  条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

第六十二条  両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

第六十三条  内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

第六十四条  国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
○2  弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

   第五章 内閣

第六十五条  行政権は、内閣に属する。

第六十六条  内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
○2  内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
○3  内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

第六十七条  内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
○2  衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第六十八条  内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
○2  内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

第七十条  内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

第七十一条  前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

第七十二条  内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

第七十三条  内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
 外交関係を処理すること。
 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
 予算を作成して国会に提出すること。
 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

第七十四条  法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

第七十五条  国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

   第六章 司法

第七十六条  すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
○2  特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
○3  すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

第七十七条  最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
○2  検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
○3  最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

第七十八条  裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

第七十九条  最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
○2  最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
○3  前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
○4  審査に関する事項は、法律でこれを定める。
○5  最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
○6  最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第八十条  下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
○2  下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第八十一条  最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

第八十二条  裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
○2  裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

   第七章 財政

第八十三条  国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

第八十四条  あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

第八十五条  国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

第八十六条  内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

第八十七条  予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
○2  すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

第八十八条  すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

第八十九条  公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

第九十条  国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
○2  会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

第九十一条  内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

   第八章 地方自治

第九十二条  地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

第九十三条  地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
○2  地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

第九十四条  地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第九十五条  一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

   第九章 改正

第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

   第十章 最高法規

第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
○2  日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

   第十一章 補則

第百条  この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
○2  この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

第百一条  この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

第百二条  この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

第百三条  この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。